厳寒の候ではございますが、皆様におかれましは、ご健勝のこととお喜び申し上げます。 また、平素より「はくばSPF豚農場」につきまして、格別なご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

第11回はくばSPF豚畜産環境対策協議会が開催されました

協議会の様子(H21.11.20開催) 昨年11月20日 (金)午後6時から白馬村役場会議室において「はくばSPF豚畜産環境対策協議会」が開催されました。

昨年は、臭気の濃度が高く、広範囲に及んだことから、協議会では事業者への厳しいご指摘がされ、 全農とJA大北の誠意ある対応が求められました。

事業者としましては、協議会でお示しした対策(後記)を確実に実施するとともに、 事業者としての役割を全農・JA大北全体の問題としてとらえ、一丸となって取り組んで参りますので引き続きご理解を賜りますようお願い申し上げます。

1. 平成22年度へ向けた全農・JA大北の環境対策

協議会でお示しし、ご了承をいただいた環境対策は次のとおりです。
優良堆肥の供給を軸とした、地域の農業生産振興に支援する農場の基本的考え方を通じ、地域の発展に寄与するとともに、 行政・関係団体及び住民の方々からの適切なご指導を頂きながら、事業者として環境対策・臭気対策に万全を期して参ります。

1. 豚舎内の清掃の強化
(1) 現状
豚舎のスノコの下等、普段清掃できない箇所に長年蓄積された堆積物が臭気発生の一因と思われます。
(2) 対策
豚舎下部の作業は危険を伴います。従業員の安全を確保しながら、できるところから順次清掃をしていく予定です。
2. 堆肥舎からの粉塵発生の防止
堆肥舎内に防風ネットを設置 (1) 現状
堆肥化が順調に進み、水分が蒸発したことで、製品調整時の粉塵の発生が問題となっております。
(2) 対策
堆肥舎内製品置き場に防風ネットを設置して、粉塵の拡散を減少させる対策を実施します。
(写真右:堆肥舎内に防風ネットを設置)
3. 新型脱臭装置の増設と改良
増設予定の新型脱臭装置 (1) 現状
旧型の脱臭装置では、夏期高温時の脱臭能力の限界及び、活性炭交換の時間を要するため、より頻繁な交換が困難です。
(2) 対策
  1. 肥育豚舎A棟南側の旧型の脱臭装置に新型脱臭装置を増設して能力の強化を図ります。
    (写真右:増設予定の新型脱臭装置)
  2. 分娩舎・離乳舎に設置してある脱臭装置の改良を実施します。
4. 肥育豚舎A・B棟の汚水搬送ライン中継マスの密閉
(1) 現状
農場内の調査の結果、豚舎から浄化槽までの汚水搬送ライン中継マスから臭気が一部発生していることが発見されました。
(2) 対策
汚水マスの蓋を改良したものに交換します。
5. 浄化槽の臭気軽減対策
(1) 現状
浄化槽の一時的なトラブルにより機能低下が見られ、臭気の発生要因となりました。
(2) 対策
トラブルによる浄化槽の臭気発生に備え、バッキ槽すべてを密閉します。
6. 豚出荷時の扉開閉時間の短縮
(1) 現状
出荷時の扉の開閉が、臭気の一因との指摘を受けています。
(2) 対策
出荷時間短縮への取り組みとともに、扉の部分に臭気をさえぎる工夫を検討し実施します。
7. 臭気対策に係る施設の補修メンテナンスの継続
(1) 現状
施設の老朽化による故障が発生し、臭気の一因と考えられるとの指摘を受けています。
(2) 対策
施設点検を行う者を常駐させ、さらに一層、細部のメンテナンスを徹底いたします。
8. 苦情対応の迅速化
(1) 現状
住民の皆様からの苦情に対して、迅速な対応や、きめ細かな対応がまだ不十分であるとのご指摘があります。
(2) 対策
苦情対応については、速やかに行えるよう事業者や環境ウォッチャーなど関係者がより一層の連携を図ってまいります。

こうした環境対策に対して、委員の皆様から次のとおり貴重なご意見を頂戴しました。

  • 出荷時の開閉時間短縮のため、建物の密閉構造への変更
  • 気象条件等、自然環境を乗り越えた防臭対策
  • 離乳舎、分娩舎の改善
  • 臭気改善計画の作成
  • 頭数制限
  • 米ぬかなど脱臭方法の研究

これらのご意見を踏まえ、一層の臭気軽減対策に努めてまいります。

2. 環境ウォッチャーの任務の再確認と住民の皆様とのコミュニケーションの重視及び農場との緊密な連携

環境ウォッチャーの任務(クリックで拡大画像表示) 協議会において委員の皆様から
「環境ウォッチャーと地元住民とのコミュニケーションがとれていないのではないか。」
「臭気状況を通報してもすぐに対策がとられない。」
などのご意見をいただきました。

こうした意見に対して、この度、環境ウォッチャーの任務や皆様とのコミュニケーション・苦情対応等について再確認をいたしました。
特に環境ウォッチャー会議の重要性に鑑み、JA理事者や農場関係者の出席による情報交換と苦情対応の公表などを実施してまいります。再確認した事項は次のとおりです。

住民の皆様との情報交換

環境ウォッチャーは、はくばSPF豚畜産環境対策協議会の住民代表委員及び地域住民の住居等を定期的に巡回し、 次に掲げる事項について原則として住民代表委員を通じて情報提供及び情報収集を行う。

  1. 事業者による環境対策の実施状況や農場における作業内容など、事業者から収集した情報を伝達するとともに、住民代表委員から地域住民に情報が周知されるよう支援する。
  2. 農場周辺地域の臭気の状況を調査するとともに、地域住民から臭気に関する情報を収集し、住民代表委員に確認する。

事業者との情報交換

環境ウォッチャー会議の重要性を確認し、次に掲げる事項について情報提供及び情報収集を行う。

  1. 農場周辺地域における臭気の状況や地域住民から収集した臭気に関する情報を事業者に伝達する。
  2. 事業者による環境対策の実施状況や農場における作業内容などの情報を収集する。
  3. きめ細かな住民の皆様への情報開示を行うため、住民の皆様から必要とされている広報紙の内容検討や事前の作業工程の情報公開を行う。
  4. ウォッチャー会議には、必要に応じてJA理事者、農場関係者が同席し、情報交換を緊密に行う。

苦情発生時に事業者が行う対応への協力

環境ウォッチャーは、地域住民から臭気の苦情があったときは、事業者による苦情対応が円滑に行われるよう、次に掲げる事項を行う。
この場合、事業者とともに対応することを原則とするが、状況に応じて事業者との連絡調整のもと環境ウォッチャーが事業者に代わり対応する。

  1. 苦情で特定された地点における臭気の状況を調査するとともに、苦情の内容を住民代表委員に情報提供する。
  2. 事業者による臭気の原因分析や臭気軽減措置などの状況を住民代表委員に説明するとともに、苦情申立者に伝達する。

3. 事業者としての誠意ある対応に向けての取り組み

協議会を受けてJA大北理事との情報交換会を早速実施(H21.12.7開催) 協議会では、委員の皆様から
「誠心誠意の対応」
「住民の気持ちに対する配慮不足」
などのご指摘を頂きました。
事業者としましては、ご意見を受け止め、特に次の点について再確認いたしました。

  1. 理事者への報告
  2. 組合員懇談会への出席
  3. 広報紙により苦情内容とそれに対応して実施した対策を公表する

(写真:協議会を受けてJA大北理事との情報交換会を早速実施(H21.12.7開催))

4. 臭気調査結果について

協議会において、21年度の臭気調査結果が報告されました。

21年度の臭気は20年度に比べ強かったことや、朝方に臭気がかなりすること、農場の風下の地域が臭い、特に微風、無風状態のときが強い臭いがすることなどが報告されました。
また21年度実施した機械測定による特定悪臭物質の報告がされ、人の臭覚との比較も報告されました。

その他、畜産環境整備機構の専門家による臭気調査により、豚舎下部(スノコ下)の清掃が重要であると指摘され、事業者の22年度の対策に盛り込まれました。

これらの報告に対して、委員の皆様から
「臭気調査地点の追加の検討」
「風向風速天候等詳細なデータにより臭気が出る状況がわかってきたので、今後に向けて臭気調査について検討の余地がある」
「火曜の出荷時間が臭う」
「一部地域の臭気改善を、臭気対策によるものと考えるのはデータの読み違えではないか。」
などのご意見をいただきました。
こうした意見について、協議会の臭気対策プロジェクトチーム等でさらに検討し、来期の調査に活かしていくこととなりました。

各主体の役割チャート図

尚、21年度最終の調査結果(平成21年10月29日)は「SPF豚農場周辺地区における臭気調査結果」(ファイルタイプ:PDF/Adobe Acrobat 484KB)をご参照ください。

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